「人間は考える葦である」
パスカルの有名な言葉だ。すぐには意味のつかめない言葉でもある。子どものころに耳にしていたら「足が考えるわけねーだろ」みたいな感想を持つ人もいるかもしれない。もしくは片足にすねの部分に顔がついたようなキャラクターをイメージすることもあるだろう。葦という植物に馴染みがないことが分かりにくさに拍車をかけているが、名言として短い文章がひとり歩きしていることも無関係ではないだろう。原文は以下のようなもう少しだけ長い文章である。
「人間はひとくきの葦にすぎない。自然の中で最も弱いものである。だが、それは考える葦である」
こう書かれると意味がつかみやすくなってのではないだろうか。パスカルが訴えかけていたのは、ひとりひとりの人間の弱さ、そして思考こそが人間の強さであり本質であるということだ。
生物は進化している。パスカルが生まれるよりも遥か昔の中生代、地球の海にはアンモナイトが繁栄していた。アンモナイトはタコやイカと同じ頭足類である。だがそれは巻貝の殻をもった頭足類である。恐竜をも上回る3億年にもわたって地球の海を覇権におさめ、そして本質である巻きを進化させた。最初はきれいな渦巻き状であった巻貝はやがて異常な形状へと進化し、そしてアンモナイトは絶滅した。
一方人間はどうだろう。人間はすでに十分に進化している。思考の積み重ねにより人間の生活は衣食住の問題を克服した。そして人間は進化を続けている。異常な形状へと進化した思考は人間を絶滅させるかもしれない。